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”木彫り熊”を忠実に再現したペーパークラフト「熊つみ」について徹底インタビュー!

「熊つみ」について

左上から順に「熊つみ」のパッケージ、雄鉾岳の「やまつみ」、柴崎さんの木彫り熊(左下)と「熊つみ」2点

「熊つみ」は八雲町の木彫り熊をモチーフにしたペーパークラフトです
インタビューを行った2024年11月19日時点で、「熊つみ」は20種類が販売されており、木彫り熊を自分の手で組み立てる楽しさや、手のひらに収まるかわいらしいサイズ感が注目を集めています。
さらに、その売り上げの一部は、八雲木彫り熊文化の保全・継承のため関係団体へ寄付され、今後の木彫り熊文化の継承への貢献も期待されています。

一度実際に新人記者Sが作ってみた時の記事はこちら!ぜひご覧になってくださいね。

今回、そんな「熊つみ」について詳しく知るために、「熊つみ」、そしてその先駆けとなった「やまつみ」の開発者であるやまつみ工房の渡邉啓広さんに新人記者Sからいくつか質問させていただきました!

Q1.熊つみはいつから販売を開始したのですか?


A.八雲町の木彫り熊発祥100周年を記念して、「冬眠あけのまえのクマまつりFinal」というイベントが、八雲町の有志の方々によって2024年5月から10月にかけて開催されました。そのイベントの一環として、2024年5月19日に会場の一つであった木彫り熊と本の店 kodamado さんでワークショップを開き、このワークショップの参加者向けに「熊つみ」を販売したことが、最初の販売機会となりました。
その後、札幌テレビ放送がイベントの様子を取材し、その内容が放映される予定となったため、放送日に間に合うように、前日の2024年5月26日に本格的な販売を開始しました。

現在、「熊つみ」は八雲町のお店を中心に販売されているほか、インターネットでも購入できるようになっています。

Q2.きっかけは?


A.森町にある母の実家には幼少の頃から木彫り熊がありましたが、当時は特に気に留めていませんでした。しかし、祖父が亡くなった後にその木彫り熊が出てきたのをきっかけに、何気なくスキャンして「やまつみ」の手法でペーパークラフトにしてみたことが始まりでした。

また、京都などに比べて歴史が浅いとされる北海道でありながら、木彫り熊は数少ない歴史を感じられる文化の一つである点も興味を引かれた理由の一つです。この地域ならではの文化や伝統に対する関心が、「熊つみ」の制作へとつながったのだと思います。

Q3.なぜペーパークラフトに?


A.印刷業界が低迷していた時期に、「このままではいけない」と危機感を抱き、山をペーパークラフトにした「やまつみ」を販売することを始めました。以降、オリジナル作品を15年間にわたり作り続けており、その積み重ねが「熊つみ」へとつながっています。

渡邉啓広さん


Q4.ペーパークラフトにする木彫り作品の選び方


A.「熊つみ」の始まりにも関わるエピソードとして、それぞれのお店が所有するオリジナルの木彫り熊を「熊つみ」にしていくという趣旨があります。この取り組みでは、お店の方々自身が特別な思い入れのある木彫り熊を選び、それを基にペーパークラフト化している点が特徴です。お店ごとに異なる木彫り熊の個性が「熊つみ」に反映されることで、より深いストーリー性と魅力が生まれています。

Q5.製作上苦労したこと


A.木彫り熊は、美術品を扱うような気持ちで大切に取り扱う必要があると感じています。そのため、作家や作品への敬意を忘れず、最大限の配慮をもって取り組んでいきたいと考えています。
また、「熊つみ」の活動を続ける中で、時折、自分たちの立ち位置が曖昧に感じられたり、どこまで関与してよいのか迷うことがあります。また、知名度の広がりには波があり、安定しているわけではありません。作業は夫婦二人で行っており、非常に限られた環境の中で、シール面以外のパッケージデザインや製作工程などもすべて自分たちで手掛けています。

とはいえ、人と話をしながらスキャンし、データを加工し、作品を作り上げる一連の流れは独自性があり、苦労も伴いますが、それ以上に楽しいと感じています。

Q6.製作していて楽しいところ


A.作家さんによって異なる彫り方や想いが、手のひらに収まるサイズの「熊つみ」だからこそ、より鮮明に感じ取ることができるところですね。特に八雲を代表するレジェンド作家の1人、柴崎重行さんの熊は、一つひとつ大きさが異なるにもかかわらず、ペーパークラフトサイズにすると熊の裏面に刻まれた「志」の銘が見事に縮尺として一致しており、大きさに関係なく銘のバランスが完璧に調整されている点から、圧倒的なバランス感覚と職人技が伝わります。

また、熊の足先の形が雄鉾岳(おぼこだけ)のように感じられるところにも、柴崎さんならではの自然を敬う心や美意識が表れています。「熊つみ」を通じてこうした発見ができることは、とても楽しく、作品の深みが感じられ面白いです。

「熊つみ」パンフレット

Q7.「熊つみ」を広めるためにこれまで行ってきた取り組みをおしえてください


A.「熊つみ」というブランドは、八雲町の木彫り熊を基にした商品として大切に扱いたいと考えています。そのため、他の地域の木彫り熊を取り入れて広く展開するのではなく、八雲町の人々に喜んでもらいたいという思いが込められています。

過去には他地域の施設から商品を置きたいというオファーがありましたが、その際も「新たな木彫り熊を『熊つみ』として追加するのではなく、八雲町のブースとして展開してほしい」という意向を伝えました。このように、他地域の木彫り熊と混同されず、八雲町らしさを守りながら独自の形でブランドを展開することを大切にしています。

また、2024年7月27日・28日に、札幌ドーム(現:大和ハウス プレミストドーム)で開催された、札幌テレビ放送と札幌ドーム主催の「大ほっかいどう祭」にも出展。「渡島・檜山エリア」のブースの一つとして、ワークショップと販売を行いました。

今後も、八雲町の魅力をPRする取り組みに積極的に協力していきたいです。

Q8.今後の課題は


A.札幌市内でのイベント会場などでは作家の名前を木彫り熊の名前と混同してしまう方がいたりもしました。
今後は八雲町の木彫り熊の特徴や面白さ、作家ごとの個性を知ってもらうための取り組みが必要だと感じており、そこに課題を見出しています。

現在、木彫り熊のデータが蓄積されてきており、それらを活かして50種類のラインナップを揃えることを目標としています。このように、熊つみを通じて八雲町の木彫り熊の魅力をさらに広めていきたいと考えています。



今回は、渡邉啓広さんに「熊つみ」についてお話を伺いました!
一からモノ作りをする苦労と熱量、そしてこの仕事への愛がとても伝わってきました。
自分で仕事に楽しみを見出す姿勢や、1からを自らで作り上げるチャレンジ精神とクリエイティブ力がとても勉強になりました。渡邉さん、今回はお話を聞かせていただきありがとうございました!

今回お話しいただいた「熊つみ」に関する詳しい情報は「熊つみ」公式ホームページをチェック!

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